深い深い、記憶の底に
確かにある
水の記憶
蒼く、どこまでも広がる海
果てがないような水の世界
そこでの私は、とても満ちたりていた
顔があるならば、
穏やかに笑い、輝いていただろう
確かにそこにいて
海と、頭上に広がる空を
とても愛していたね
そんな大事なことを
時々、忘れてしまうんだ
今の生活では、
海を見ない日が沢山あって
身体の中には沢山の水を称えているのにね
そうだ
私は、かつて水の中にいたんだね
もしかしたら、
水そのものだったのかもしれない
完全に溶け合って、
きらきらと響き合っていたんだね
暗闇だって、怖くなかった
あたたかく、小さく小さく輝いている水は
孤独な夜だって、
優しく包みこんでくれていた
それが一番最初の
愛の記憶
それから、
長い時を経て
陸を見つけた
「あれはなんだろう?
いつか、
あそこに行ってみたい」
それから、気が遠くなるほど
長い時間が海で流れていった
そして、願いが叶ったのね
そして、陸に生まれた私は、
木に出会った
そこには、愛する人たちと家族がいて、
私たちは、木をとっても愛していた
森が素晴らしすぎて、
海での記憶をを忘れてしまうほどに
だけど、
私たちは、海が見える陸に住んでいた
大きくて、小さな島に住んでいたから、
いつも海を感じていたね
私たちは、
森に抱かれ、海に洗われながら
そこでの生活を、
とても気に入っていたんだね
森を、海を、愛していたね
それから
いろんな陸で
いろんな姿に変化しながら
沢山の
こんにちはと、さようならを
繰り返したね
そして、今
私たちは、まだ、
旅の途中
そんなことを
思い出したんだ
電気を消して、暗くして
海のキャンドルを灯した
浴室で
暗闇で
わずかな光に揺らめく水を見ていたら
遠い記憶が戻ってきたんだ
忘れてはいけない大切な記憶が
遠い昔、
一番最初に感じた
愛の記憶
それは、
今、この瞬間
いろんな音で
響きあう原動力
いつもともにあるそれを
見失ってしまいそうになったら、
暗闇で
深く息を吸い
水と溶け合おう
素敵な音が
骨の奥まで
響いてくるまで
水に問いかけてみよう
背中に
白くて美しい羽が生えるまで
love,
Ryoco
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