昨夜から、日曜日は山田詠美さんの新作『無銭優雅』を読むぞと決めていた。
私は、学生の頃は猛烈に小説を読んでいたけれど、今はあまり読みません。だけど、「今日は無償に読みたい、こんなのが!」という生理的欲求がふつふつと 沸き上がる日が、何の前触れもなくやってくる。身体の奥からむらむらっと沸き上がる。それも、どんなのが読みたいかと言う具体的な形で。
そんなときに、そんな本に出会えると、夢中になって読んでしまうのだ。
山田詠美さんの本については、もう長い付き合いなのでもっと直感的なものだけど。
さて。
中学生の頃から、詠美さんの小説には本当に共鳴し、自分の本当に誰にも触れられていないような奥深い部分での、ものの感じ方があまりにもぴたっと当ては まり、それはそれは毎回驚かされっぱなし。しかも、本当に様々なレベルにおいて共鳴出来るのだから凄い。とても静かで個人的、そして爆発的な感動で、もう それは一言では語り尽くせない。
もっと言えば、感動を通り越して笑ってしまうほどの壮絶なレベル。私にとって、山田詠美さんと言う作家との出会いは、本当に大きかった。
そして、この新作。
詠美さんは、今まで本当に素晴らしい小説を沢山生み出しているけれど、『無銭優雅』はもしかしたら今までで一番なんじゃないかなあと思う。色々な意味で。
こういう文章は、詠美さんにしか書けないもので、その文体はとても身近に感じるのに真に芸術的。心の飾りがどんどん剥がされ、ついに裸にさせられてしまった心に迫ってくる音楽のようでもある。
そして、紡ぎ出される文章は、とても正しい。正しいというのは、道徳的に、ということではなくって。
詠美さんの文学は、閉ざされた文学じゃなくって、とても優しく暖かく私たちに開かれている。描かれている部分が、とても人間的に閉ざされている部分であればあるほど。
こんなに心を裸にしてしまう小説ってあるかしらって思う。
もう、私が登場人物なんじゃないかというくらい、同一化しちゃって、涙が止まらないわ、ラストシーンなんて、主人公とまったく同じ状態で大泣きして、大笑いしていた。
恋の関係性について、とても裸な心で感動して、過ぎ去ったひとつの大きな恋を想い涙を流したり、今より先の恋についても心から愛おしく想った。
おそらく、ここに描かれているような恋は、一生のうちに1、2度あるかないかだろうと思う。だからこそ、心に強く響いた。
この小説の中で、恋についてと同じくらい心に響き、ボロボロに涙を流してしまったのは、主人公の慈雨の両親の話だった。年老いて行く両親に起こる、様々な心の動きや想いが、自分の両親とリアルに重なってしまって、散々泣いてしまった。
慈雨が、両親に対している想いもよく分かったし、父親が娘や妻に抱く愛情や、とても強くて明るいはずの母親がふと迷い込んでしまった深い闇。そのどれもが、自分と自分の親と重なってしまって、どうしようもなく泣けてしまった。
ああ、私はなんて大きな愛を抱えているんだろうと、裸になってしまった心で震えてしまった。
そして、これから先、共に生きたいと狂おしいほどに思える大切な恋人と過ごすようになったとき、やはり私は、その背負った愛の大きさに、この上ない喜びとおそれを抱くのかな。
失いたくない大切なものと出会った時、強烈に死を想うものだから。
それでも、私は死に向かって生きる、この日々に抱く一瞬一瞬の灯を、最後まで静かな情熱で灯し続けて行きたいなあと思う。
そしてやはり、その傍らには、愛されて愛する人がいて、ぴったり寄り添っていれたらいいなあと思います。
詠美さん、本当に、素晴らしい小説を、ありがとうございます。
裸んぼの恋をしよう。
情熱のある日々を。
LOVE & MERCY
& HUMOUR
Ryoco
私は、学生の頃は猛烈に小説を読んでいたけれど、今はあまり読みません。だけど、「今日は無償に読みたい、こんなのが!」という生理的欲求がふつふつと 沸き上がる日が、何の前触れもなくやってくる。身体の奥からむらむらっと沸き上がる。それも、どんなのが読みたいかと言う具体的な形で。
そんなときに、そんな本に出会えると、夢中になって読んでしまうのだ。
山田詠美さんの本については、もう長い付き合いなのでもっと直感的なものだけど。
さて。
中学生の頃から、詠美さんの小説には本当に共鳴し、自分の本当に誰にも触れられていないような奥深い部分での、ものの感じ方があまりにもぴたっと当ては まり、それはそれは毎回驚かされっぱなし。しかも、本当に様々なレベルにおいて共鳴出来るのだから凄い。とても静かで個人的、そして爆発的な感動で、もう それは一言では語り尽くせない。
もっと言えば、感動を通り越して笑ってしまうほどの壮絶なレベル。私にとって、山田詠美さんと言う作家との出会いは、本当に大きかった。
そして、この新作。
詠美さんは、今まで本当に素晴らしい小説を沢山生み出しているけれど、『無銭優雅』はもしかしたら今までで一番なんじゃないかなあと思う。色々な意味で。
こういう文章は、詠美さんにしか書けないもので、その文体はとても身近に感じるのに真に芸術的。心の飾りがどんどん剥がされ、ついに裸にさせられてしまった心に迫ってくる音楽のようでもある。
そして、紡ぎ出される文章は、とても正しい。正しいというのは、道徳的に、ということではなくって。
詠美さんの文学は、閉ざされた文学じゃなくって、とても優しく暖かく私たちに開かれている。描かれている部分が、とても人間的に閉ざされている部分であればあるほど。
こんなに心を裸にしてしまう小説ってあるかしらって思う。
もう、私が登場人物なんじゃないかというくらい、同一化しちゃって、涙が止まらないわ、ラストシーンなんて、主人公とまったく同じ状態で大泣きして、大笑いしていた。
恋の関係性について、とても裸な心で感動して、過ぎ去ったひとつの大きな恋を想い涙を流したり、今より先の恋についても心から愛おしく想った。
おそらく、ここに描かれているような恋は、一生のうちに1、2度あるかないかだろうと思う。だからこそ、心に強く響いた。
この小説の中で、恋についてと同じくらい心に響き、ボロボロに涙を流してしまったのは、主人公の慈雨の両親の話だった。年老いて行く両親に起こる、様々な心の動きや想いが、自分の両親とリアルに重なってしまって、散々泣いてしまった。
慈雨が、両親に対している想いもよく分かったし、父親が娘や妻に抱く愛情や、とても強くて明るいはずの母親がふと迷い込んでしまった深い闇。そのどれもが、自分と自分の親と重なってしまって、どうしようもなく泣けてしまった。
ああ、私はなんて大きな愛を抱えているんだろうと、裸になってしまった心で震えてしまった。
そして、これから先、共に生きたいと狂おしいほどに思える大切な恋人と過ごすようになったとき、やはり私は、その背負った愛の大きさに、この上ない喜びとおそれを抱くのかな。
失いたくない大切なものと出会った時、強烈に死を想うものだから。
それでも、私は死に向かって生きる、この日々に抱く一瞬一瞬の灯を、最後まで静かな情熱で灯し続けて行きたいなあと思う。
そしてやはり、その傍らには、愛されて愛する人がいて、ぴったり寄り添っていれたらいいなあと思います。
詠美さん、本当に、素晴らしい小説を、ありがとうございます。
裸んぼの恋をしよう。
情熱のある日々を。
LOVE & MERCY
& HUMOUR
Ryoco
あら、新作。
表紙的に面白そうな予勘。
投稿情報: moggie | 2007/02/19 22:10
うん、恋がしたくなるよ。
中央線で、かどうかは分からないけど。
投稿情報: Ryoco | 2007/02/19 23:20