レイトショーで、『NARA:奈良美智との旅の記録』を観て来た。
奈良さんが描く子たちを最初に見たときの、あのものすごい衝撃はずっと心に残っていた。
始めから頭を使って絵を見るという、出来上がった大人の思考回路は、いとも簡単に遮断されてしまった。それで、何も考えずに子供の時みたいに、かは分からないけど、とにかくただ感じる事ができた絵だった。
だから、なんていうか、心にずっと残っている。
あの子たちの眼が。色が。
このドキュメンタリーは、絵にスポットをあてたものじゃなくって、奈良さんのドキュメンタリーだったけれど、それでも絵が出てくるたびに、熱いものが沸々と沸いて来て止まらなかった。鳥肌も。
初めて、奈良さんの絵を描く姿とか、日々の表情とか会話とかを目にしたけれど、今まで絵や写真だけ見て感じていたものと、寸分もぶれない人がそこにいるという気がした。妙にすっと感情移入してしまった感じがした。
うまい言葉がみつからないけど、赤ちゃんみたいな人だなあって思った。
奈良さんは、昔のようなひねくれた自分はもういなくて、昔のような絵は描けなくなっていて、今はもっと深いところの孤独を描けるようになっていて、それがいいかはわからないけれど、何も変わらないより変わった方がいいかなって、みたいな事を言っていた。
自分の事を話す言葉は、とても拙いんだけれど、とてもよく伝わってくる。だから、気がついたら手をぎゅっと握りしめながら映画を観ている自分がいた。ぐっと入っているときは、いつだって全身に力が入っちゃう。
ドキドキした。
奈良さんの絵が分かった訳じゃないけれど、そのほんの一部分の秘密みたいなものが見えた気がした。
魔法なんだね、きっと。魔法って言うとかわいらしいから、呪術っていったほうがいいかな。
岡本太郎さんが言っている、呪術を使っているんだなって思った。
本当に、全身全霊で感動したし、パワーをもらいました。
あと、ただただ凄いなあっておもったのが、grafの人の力。そして、それを手伝っていたボランティアスタッフとか色々な人たち。
みんな素敵だった。
ああ、凄かった。
人間が、内にあるものをどんどん開いて行ったら、きっと世の中は捨てたもんじゃないって思った。
だから、私も開いて行かなければ、と強く感じることができた。
人生に、遅すぎるという事は、ないはずだ。
やらなければ、腐って行くだけだけど。
それにしても、帰宅して、きらきらした心のまま、茄子とキノコを使ってビーフンを作ったけど、めちゃくちゃ美味しくできた。ミョウガとシソとレモンがよ
かったのか、バルサミコ酢がよかったのか、奈良さんの絵に思いを馳せながら夢中になっていたから、作り方を思い出せない!!(笑)
おまけ:
最近の大ヒット! (最高!)